『深夜特急』の街は、いまどうなっているか
作中の旅は1974年のものです。半世紀が経ちました。 登場する街のうち、いま訪ねられるのはどれで、 訪ねられても別の街になってしまったのはどれかを整理します。 ※作品の本文は掲載していません。
最終更新:2026年8月8日
3つの分類
作中の街を現在の地図に重ねると、きれいに3つに分かれます。 この区別を先に持っておくと、どこを訪ねるべきかの判断がつきます。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| そのまま行ける | 訪問に特別な障害がない。ただし街の側が変わっていることは別問題 |
| 行けるが手続きが別物 | 訪問はできるが、当時は存在しなかった事前手続きが必要になっている |
| 同じようにはたどれない | 渡航そのものの可否から確認が必要。本を読む以外に体験する方法が事実上ない |
主要都市の一覧
| 街 | 巻 | 現在 |
|---|---|---|
| 香港 | 1 | 行ける。物価も街並みも別物だが、旅の始まりの地としての意味は残る |
| マカオ | 1 | 行ける。フェリーに加えて陸路でも渡れる。カジノの規模は当時と比較にならない |
| バンコク | 2 | 行ける。旅行者が集まる街という性格はいまも健在 |
| ペナン | 2 | 行ける。速度が落ちる島という性質は変わっていない |
| シンガポール | 2 | 行ける。ただし安宿を渡り歩く旅人の街としての性格はほぼ残っていない |
| カルカッタ 現コルカタ |
3 | 行ける。事前のeビザが必須 |
| カトマンズ | 3 | 行ける。陸路国境も生きている |
| ベナレス 現バラナシ |
3 | 行ける。ガンジス川の岸辺という光景は、変わりようがない |
| デリー | 3 | 行ける。本来の出発点だった街 |
| ペシャワール | 4 | 同じようにはたどれない。渡航可否から確認が必要 |
| カブール | 4 | 同じようにはたどれない。作中で最も失われた区間 |
| テヘラン | 4 | 同じようにはたどれない。公式情報での確認が必須 |
| イスタンブール | 5 | 行ける。アジアが終わる場所という地理は動かない |
| アテネ | 5 | 行ける。アクロポリスも変わらずそこにある |
| サグレス | 6 | 行ける。ユーラシアの南西端という位置は永久に変わらない |
| ロンドン | 6 | 行ける。物価は当時とまったく別の水準 |
上の分類は作品を読むための整理であり、渡航の助言ではありません。 情勢は変わります。実際の渡航にあたっては、 必ず外務省海外安全ホームページと各国大使館の最新情報をご確認ください。 危険情報の読み方は、姉妹サイトの 安全対策にまとめています。
個別に解説している街
作中で構造上の意味を持っている3つの街について、 個別のページを用意しました。 単に印象的だからではなく、そこで旅の性格が変わる地点だからです。
- 始まりの地 香港 寄り道が本編を乗っ取る、という構造がここで完成した。
- 本来の出発点 デリー 3冊かけて着いた「1ページ目」。ここから賭けが始まる。
- 境目 イスタンブール 海峡を渡るだけで大陸をまたぐ。アジアが終わる場所。
「行ける」と「たどれる」は違う
一覧を見ると、16都市のうち行けないのは3つだけです。 数の上ではほとんど訪問できます。 それでも「同じ旅ができる」とは言えません。理由は2つあります。
1. 街が変わっている
シンガポールが分かりやすい例です。訪問はできますが、 作中に描かれた安宿と旅人の街は、もうそこにありません。 場所は同じでも、体験は別物になります。
2. つなぎ方が変わっている
より本質的なのはこちらです。作中の旅は陸路で連続してつながっていました。 ところが第4巻の区間が抜けると、そこで線が切れます。 個々の街には行けるのに、同じ順番で陸路でつなぐことができない。 「行ける」と「たどれる」の違いはここにあります (作中のルート)。
こちらの旅では、切れた区間を中央アジア経由で置き換えました。 同じ道ではありませんが、同じ方向へ、同じように陸路で抜けます (作中の経路との対応)。