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『深夜特急』の街は、いまどうなっているか

作中の旅は1974年のものです。半世紀が経ちました。 登場する街のうち、いま訪ねられるのはどれで、 訪ねられても別の街になってしまったのはどれかを整理します。

聖地巡礼で探している方へ

作中の街のうち、いま行きやすいのは香港とマカオです。 第1巻の舞台で、1つの旅でまとめて回れます。 ただし街には行けても、作中と同じ道を陸路でつなぐことはいまはできません(下の「行ける」と「たどれる」は違う)。 実際に行くときは、1974年の作中の情報ではなく、外務省の海外安全情報を確かめてください。

編集:ちんあなご編集部/最終確認:2026年10月31日/作品本文の引用はありません

3つの分類

作中の街を現在の地図に重ねると、きれいに3つに分かれます。 この区別を先に持っておくと、どこを訪ねるべきかの判断がつきます。

分類意味
そのまま行ける 訪問に特別な障害がない。ただし街の側が変わっていることは別問題
行けるが手続きが別物 訪問はできるが、当時は存在しなかった事前手続きが必要になっている
同じようにはたどれない 渡航そのものの可否から確認が必要。本を読む以外に体験する方法が事実上ない

主要都市の一覧

街巻現在
香港 1 行ける。物価も街並みも別物だが、旅の始まりの地としての意味は残る
マカオ 1 行ける。フェリーに加えて陸路でも渡れる。カジノの規模は当時と比較にならない
バンコク 2 行ける。旅行者が集まる街という性格はいまも健在
ペナン 2 行ける。速度が落ちる島という性質は変わっていない
シンガポール 2 行ける。ただし安宿を渡り歩く旅人の街としての性格はほぼ残っていない
カルカッタ
現コルカタ
3 行ける。事前のeビザが必須
カトマンズ 3 行ける。陸路国境も生きている
ベナレス
現バラナシ
3 行ける。ガンジス川の岸辺という光景は、変わりようがない
デリー 3 行ける。本来の出発点だった街
ペシャワール 4 同じようにはたどれない。渡航可否から確認が必要
カブール 4 同じようにはたどれない。作中で最も失われた区間
テヘラン 4 同じようにはたどれない。公式情報での確認が必須
イスタンブール 5 行ける。アジアが終わる場所という地理は動かない
アテネ 5 行ける。アクロポリスも変わらずそこにある
サグレス 6 行ける。ユーラシアの南西端という位置は永久に変わらない
ロンドン 6 行ける。物価は当時とまったく別の水準
渡航可否は必ず公式情報で

上の分類は作品を読むための整理であり、渡航の助言ではありません。 情勢は変わります。実際の渡航にあたっては、 必ず外務省海外安全ホームページと各国大使館の最新情報をご確認ください。

個別に解説している街

作中で構造上の意味を持っている3つの街について、 個別のページを用意しました。 単に印象的だからではなく、そこで旅の性格が変わる地点だからです。

街に行く前に読む巻

上の一覧の「巻」を、新潮文庫の巻の副題と発売日に重ねました。行き先が決まっている人は、その街が出る巻から読めます。 現行の新版の定価も、新潮社の特設ページの表示を写しています。

巻副題(新潮文庫)この一覧で扱う街定価
第1巻香港・マカオ香港、マカオ693円
第2巻マレー半島・シンガポールバンコク、ペナン、シンガポール693円
第3巻インド・ネパールカルカッタ(現コルカタ)、カトマンズ、ベナレス(現バラナシ)、デリー693円
第4巻シルクロードペシャワール、カブール、テヘラン693円
第5巻トルコ・ギリシャ・地中海イスタンブール、アテネ737円
第6巻南ヨーロッパ・ロンドンサグレス、ロンドン737円

「同じようにはたどれない」とした3つの街(ペシャワール、カブール、テヘラン)は、すべて第4巻に出ます。 一覧の16都市のうち、いま行けるのは13都市で、第1巻から第3巻と第5巻・第6巻の街はすべて行けます。 価格は変わることがあるので、買う前に書店の最新の表示を見てください(出典:新潮社「深夜特急」特設ページ、2026年11月6日確認)。

「行ける」と「たどれる」は違う

一覧を見ると、16都市のうち行けないのは3つだけです。 数の上ではほとんど訪問できます。 それでも「同じ旅ができる」とは言えません。理由は2つあります。

1. 街が変わっている

シンガポールが分かりやすい例です。訪問はできますが、 作中に描かれた安宿と旅人の街は、もうそこにありません。 場所は同じでも、体験は別物になります。

2. つなぎ方が変わっている

より本質的なのはこちらです。作中の旅は陸路で連続してつながっていました。 ところが第4巻の区間が抜けると、そこで線が切れます。 個々の街には行けるのに、同じ順番で陸路でつなぐことができない。 「行ける」と「たどれる」の違いはここにあります (作中のルート)。

こちらの旅では、切れた区間を中央アジア経由で置き換えました。 同じ道ではありませんが、同じ方向へ、同じように陸路で抜けます (作中の経路との対応)。