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作中のルート — 香港からロンドンまで

当初の構想は「デリーからロンドンまで」でしたが、実際の旅はもっと東から始まり、 はるかに長い道のりになりました。 実際にたどられた経路を、順を追って整理します。

編集:ちんあなご編集部/最終確認:2026年10月27日

1. 香港 — 第1巻・いまもたどれる 2. マカオ — 第1巻・いまもたどれる 3. バンコク — 第2巻・いまもたどれる 4. ペナン — 第2巻・いまもたどれる 5. クアラルンプール — 第2巻・いまもたどれる 6. シンガポール — 第2巻・いまもたどれる 7. コルカタ — 第3巻・いまもたどれる 8. ブッダガヤ — 第3巻・いまもたどれる 9. カトマンズ — 第3巻・いまもたどれる 10. バラナシ — 第3巻・いまもたどれる 11. デリー — 第3巻・いまもたどれる 12. ペシャワール — 第4巻・現在は同じようにたどれない区間 13. カブール — 第4巻・現在は同じようにたどれない区間 14. テヘラン — 第4巻・現在は同じようにたどれない区間 15. アンカラ — 第5巻・いまもたどれる 16. イスタンブール — 第5巻・いまもたどれる 17. アテネ — 第5巻・いまもたどれる 18. ローマ — 第6巻・いまもたどれる 19. マルセイユ — 第6巻・いまもたどれる 23. パリ — 第6巻・いまもたどれる 20. マドリード — 第6巻・いまもたどれる 21. リスボン — 第6巻・いまもたどれる 22. サグレス — 第6巻・いまもたどれる 24. ロンドン — 第6巻・いまもたどれる 1 香港 3 バンコク 6 シンガポール 7 コルカタ 9 カトマンズ 11 デリー 13 カブール 14 テヘラン 16 イスタンブール 18 ローマ 23 パリ 22 サグレス 24 ロンドン いまもたどれる 同じようにはたどれない 数字は通った順
作中でたどられた経路の模式図(当サイトで作図・正確な地図ではありません)。数字は通った順番で、名前を出していない点も、下の答えの番号と同じ順に並んでいます。地点を選ぶと、その土地を扱う巻の解説に移動します。赤い点線の区間は、現在は同じようにたどれません。
答え:香港からロンドンまで、この順に24の街を通ります

1 香港 → 2 マカオ → 3 バンコク → 4 ペナン → 5 クアラルンプール → 6 シンガポール → 7 カルカッタ(コルカタ) → 8 ブッダガヤ → 9 カトマンズ → 10 ベナレス(バラナシ) → 11 デリー → 12 ペシャワール → 13 カブール → 14 テヘラン → 15 アンカラ → 16 イスタンブール → 17 アテネ → 18 ローマ → 19 マルセイユ → 20 マドリード → 21 リスボン → 22 サグレス → 23 パリ → 24 ロンドン

巻でいうと、1〜6が第1・2巻、7〜11が第3巻、12〜14が第4巻、15〜17が第5巻、18〜24が第6巻です。 シンガポールからカルカッタへは海を越え、デリーからは乗合バスで西へ進みます。 パリに寄るのはポルトガル南西端のサグレスの後で、ロンドンが最後です。

ルートの全体像

冒頭の地図の地点を選ぶと、その土地を扱う巻の解説に移動します。

大づかみに言えば、ユーラシア大陸を東の端から西の端まで、陸路中心で横断する経路です。 現在の世界一周ルートで言えば、アジア区間と欧州区間をつなぐ部分にあたります。

  • 香港・マカオ 出発点 旅の始まり。デリーへ向かう前の「寄り道」のはずが、 作品の中でも屈指の密度で描かれる土地になりました。
  • タイ(バンコク) 東南アジアへ。ここから南下していきます。
  • マレーシア(ペナン、クアラルンプール)・シンガポール マレー半島を南端まで下る区間。
  • インド(カルカッタ、ブッダガヤ、ベナレス、デリー)/ネパール 当初の構想上の出発点だったデリーに、ようやくたどり着く区間。 ここから本来の「乗合バスでロンドンへ」が始まります。
  • パキスタン(ペシャワール) インド亜大陸から中央アジアへの入口。
  • アフガニスタン(カブール) 当時のルート 1970年代当時、陸路横断の主要な経路上にありました。 現在は同じようには通れません(後述)。
  • イラン(テヘラン) 中東へ。ここも当時と現在では状況が大きく異なります。
  • トルコ(アンカラ、イスタンブール) アジアとヨーロッパの境目。 陸路の旅において象徴的な意味を持つ区間です。
  • ギリシャ(アテネ) ヨーロッパ側へ。
  • イタリア(ローマ) 地中海沿いに西へ。
  • 南フランス(マルセイユ) 地中海沿いをさらに西へ。
  • スペイン(マドリード)/ポルトガル(リスボン、サグレス) イベリア半島へ。サグレスはユーラシア大陸の南西の端にあたり、 この旅において特別な意味を持つ場所として描かれます。
  • フランス(パリ) サグレスで引き返し、北へ。ロンドンの手前で足を止める街です。
  • ロンドン 目的地 当初に掲げた目的地。

巻とルートの対応

新潮文庫版は地域ごとに分けられているため、 巻の番号がそのまま地理の順番になっています。 「どこの話が読みたいか」から巻を選べる、ということです。

巻この巻で通る土地移動の性格
1 香港、マカオ ほとんど移動しない。2つの街に留まり続ける
2 バンコク、ペナン、クアラルンプール、シンガポール マレー半島を南へ下る。目的地とは逆方向
3 カルカッタ、ブッダガヤ、カトマンズ、ベナレス、デリー 海を越えてインドへ。ここでようやく出発点に着く
4 ペシャワール、カブール、テヘラン 乗合バスで西進。移動そのものが主役になる
5 アンカラ、イスタンブール、アテネ アジアからヨーロッパへ渡る
6 ローマ、マルセイユ、マドリード、リスボン、サグレス、パリ、ロンドン 大陸の西の端まで行ってから、目的地へ

「デリーからロンドン」のはずだった

この経路を見て気づくのは、当初の目的地であるデリーに着くまでが、すでに長いことです。 香港、タイ、マレー半島、シンガポールを経て、ようやくインドに入ります。

当人の言い分としては、デリーへ向かう途中の寄り道です。 しかしその寄り道が全6巻のうち3巻分を占めます。 「目的地に向かう話」ではなく「目的地に向かえない話」になっているという、 この作品の構造がここに表れています。

ルートの3つの折れ目

地図の上でこの経路をなぞると、 まっすぐ西へ進んでいない箇所が3つあります。 いずれも作品にとって重要な地点です。

1. 南へ下る(バンコク〜シンガポール)

目的地のデリーは北西にあるのに、旅は南へ向かいます。 しかも半島の南端という行き止まりまで行ってしまう。 引き返すしかない地点まで進んでから、ようやくインドへ向かいます (第2巻)。

2. 北へ寄る(カルカッタ〜カトマンズ〜ベナレス)

カルカッタからデリーへ向かうなら、ネパールは経由地になりません。 明確な寄り道です。 しかもそのあとベナレスへ戻り、それからデリーへ入ります (第3巻)。

3. 西の端まで行く(リスボン〜サグレス)

ロンドンは北にあるのに、旅はイベリア半島の南西端まで下ります。 ユーラシア大陸のこれ以上西へ行けない場所に到達してから、引き返してロンドンへ。 目的地に着くことを、最後まで先延ばしにしている形です (第6巻)。

3つの折れ目はすべて同じ形をしている

南へ、北へ、西の端へ。方向はばらばらですが、 共通しているのは「目的地から遠ざかる動き」である点です。 そして3つとも、行き止まりまで行ってから引き返しています。 この作品が「進めない話」だというのは比喩ではなく、 地図の上に実際にそう描かれているということです。

いま同じルートは通れるのか

当時と現在では状況が大きく違います

作中の旅は1974年のものです。 当時陸路で抜けられた区間のいくつかは、現在は同じように通行できません。 とくにアフガニスタンやイランを含む区間は、渡航そのものの可否から確認が必要です。 現在の渡航可否は、必ず外務省海外安全ホームページなどの 公式情報でご確認ください。

現在、日本から陸路で西へ向かう場合、中央アジア(ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンなど)を 経由してトルコへ抜けるルートが現実的な選択肢になります。 通る国は変わりましたが、「陸路でユーラシアを西へ抜ける」という骨格は今も成立します。

現在のルートとの重なり

都市ごとに「いま訪ねられるのか」を整理したものは 作中の街の現在にあります。

作中のルートと、現在の一般的な世界一周ルートを重ねると、 いくつもの土地が共通しています。

地域作中現在の世界一周ルート
東南アジアタイ、マレー半島、シンガポールいまも定番区間
南アジアインド、ネパールいまも定番区間
中央アジア〜中東アフガニスタン、イラン経由中央アジア諸国経由に置き換わることが多い
トルコアンカラ、イスタンブールいまもアジア・欧州の結節点
南欧ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルいまも定番区間

この地図をたどる旅の計画は自分の旅の記録にまとめています。

参照元